イカルディ、新たな挑戦

アルゼンチンから、スペインとイタリアを経由してフランスへ。マウロ・イカルディがパリ・サン=ジェルマンに辿り着くまでのドラマチックな道のりを振り返る。

マウロ・エマヌエル・イカルディは1993年2月19日にロサリオで生まれた。アンヘル・ディ・マリアと同じ故郷である。サッカー熱の高い国で生まれた彼はまずクラブ・インファンティル・サラテアでプレーを開始。続いて9歳の時には両親とともにカナリア諸島へ移った。サンタ・ルシア・デ・ティラハナのクラブでプレーする若きFWは徐々に注目を集め始める。400点近いゴールを記録していたことを考えれば当然のことだった。“エル・アギラ”(ワシ)のニックネームを付けられた彼は欧州トップレベルのクラブからの関心を引きつけていた。

16歳の時、イカルディは同じくロサリオ出身のリオネル・メッシと同じ道を歩むことを決断し、バルセロナの名高いユースアカデミー“ラ・マシア”に加入。そこで2シーズン半を過ごしたあと、2011年はじめにウニオーネ・カルチョ・サンプドリアへレンタル。イタリアでは主にプリマヴェーラ(リザーブチーム)でプレーして19試合で13得点を挙げつつ、セリエBの試合にも出場した(2試合1得点)。その活躍により、夏にはセリエA昇格を勝ち取ったジェノバのクラブに完全移籍で加入することになった。

彼は急速に階段を駆け上がっていった。トップレベルで戦った初めてのシーズンに、リーグ戦31試合に出場して10得点4アシストを記録。その活躍はインテルの目に留まった。2013年にインテルに移籍するとすぐに新天地に適応し、2013年10月15日にはモンテビデオで行われたウルグアイ戦で初のA代表キャップも刻んだ。エディンソン・カバーニが終盤に決めた決勝点によりアルゼンチンが2-3で敗れた試合だった。

ミラノで青と黒の伝統のユニフォームを身に纏った最初のシーズンには、公式戦23試合に出場して9得点2アシストを記録。2年目には48試合で27得点7アシストとさらに成績を伸ばした。そのうち22得点をセリエAで記録し、イタリアのトップリーグ得点王の栄冠も獲得。エラス・ヴェローナのルカ・トーニと並んでの得点王だった。チーム内での影響力を強めた彼はインテルのキャプテンにも就任。腕章が重荷となることもなく、2015/16シーズンには34試合で16得点4アシスト、2016/17シーズンには41試合で26得点8アシストを記録した。その翌年にも29得点でセリエA得点王(ラツィオのチーロ・インモービレと同点)に輝き、リーグ年間最優秀選手にも選出された。

2018年3月18日には、古巣サンプドリアとの試合でセリエA通算100得点を達成。25歳27日の彼は21世紀最年少でこの偉業を成し遂げた選手となった。その翌年も37試合で17得点5アシストと印象的な活躍を残し、2018年11月21日にはアルゼンチンがメキシコに2-0の勝利を収めた試合で代表初ゴールも挙げた。2012/13シーズンにセリエAにデビューして以来、同期間で最多の121ゴールを記録。インテルで公式戦通算124ゴールを挙げ、クラブ歴代8位の得点者となった。それらの実績により、パリ・サン=ジェルマンも彼の獲得に動くことを決断した。アルゼンチン、スペイン、イタリアを経て、マウロ・イカルディはこれからフランスで新たな挑戦に臨む。